or-lab. topics
SENZOKU String Orchestra Concert
2018年12月14日、洗足学園音楽大学前田ホールにて、SENZOKUストリング・オーケストラ演奏会が行われました。
指揮は吉田行地さん、ヴァイオリン奏者の水野佐知香さんが指導されている洗足学園音楽大学学生による演奏で、プログラムは二部構成による次のような内容でした。
[ 第一部 ]
G.ホルスト 《ブルック・グリーン組曲》
O.レスピーギ 《リュートのための古風な舞曲とアリア》
吉松隆 《アトム・ハーツ・クラブ組曲 第1番》
[ 第二部 ]
臼居 司 《フィトンチッドⅡ》
湖東ひとみ 《雲は流れて》
山下 康介 《Epilogue 1996》
奥 慶一 《アルテールとヴェガ- 弦楽オーケストラのための》
渡辺俊幸 《NHKドラマ「大地の子」〜メインテーマ》
第一部はホルストとレスピーギの弦楽アンサンブル定番曲と吉松隆氏のエネルギッシュなロックへのオマージュとも言える作品をオーケストラのメンバー全員、スタンディングで迫力ある演奏を披露。
第二部は通常のセッティングで、当音大 音楽・音響デザインコース、メディアコンテンツ専攻の学生さんによる映像がバック・スクリーンに映写され、眼と耳で楽しめるコンサートとなりました。
私がこのコンサートのために書き下ろした《アルテールとヴェガ- 弦楽オーケストラのための》は、第2部の3曲目に演奏されました。 マントヴァーニ楽団の「カスケード・ストリングス」スタイルを採用し、滝が流れ落ちるような、天空に広がる星雲のイメージをバックに、美しい弦の響きがホールを満たしました。
Senzoku String Orchestra Concert - Program
P. 1 P. 2P. 3 P. 4 P. 5 P. 6 P. 7 P. 8
Artaïr et Vega - pour orchestre à cordes
《 アルテールとヴェガ - 弦楽オーケストラのための 》
奥 慶一 作曲2018年 10月 3日 完成
────── 解説──────
本作品は当音楽大学でヴァイオリンと弦楽アンサンブルを指導されている水野佐知香氏より委嘱を受け、今回の演奏会のために書き下ろしたものです。 お話があったのが夏だったので、夜空に広がる天の川のような曲にしよう、と思い書き始めました。
日本では「アルタイル」と呼ばれ、彦星としても知られる「わし座」の恒星と、織女星として知られる「こと座」の恒星「ヴェガ」の名を題名にいただき、中国から伝わった伝説である織姫と牽牛の七夕の物語をイメージした曲です。
「マントヴァーニ風の美しい曲を」という注文でしたので、マントヴァーニ・オーケストラの特徴である「カスケード・スタイル」という編曲技法を用いました。 カスケード・スタイルの弦楽合奏は、通常より各パートが細かく分かれ、それぞれのパートに対等の音量と技量が要求されますので、大変高度な合奏技術であると言えるでしょう。
また、本作品の導入部では宇宙の神秘性を感じさせるような現代奏法も採りいれており、弦楽合奏の新しいひびきも体験していただけるものと思います。
曲はソロ・ヴァイオリンとソロ・チェロがリードしつつ、合奏がやわらかく包み込み歌い上げる形で進行します。壮大な夜空のファンタジーをまぶたに浮かべながらお楽しみいただけたら幸いです。 (プログラムより加筆修正)
────────────